GRIT(やり抜く力)で、人は成長する

2018/5/01

『GRIT(やり抜く力)で、人は成功する』

2016年9月「GRIT(やり抜く力)人生のあらゆる成功を決める『究極の能力』を身につける」
(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社)が出版されてから、
物事を成功させるために重要な要素として、近年アメリカの教育界で、
特に重要視されビジネスやスポーツをはじめ、各界で大きな注目を集めている。

「GRIT」とは、直訳すると、やる気、闘志、気概などで、この本のタイトルにあるように、
「やり抜く力」を指します。どんな分野でも、その頂点に立てる人は、ごく一握りの人です。
では、一流とそうでない人を分けるのは才能か努力か、
長年、そんな論争が続けられてきた。そういう論争に対して、
私は「努力は才能に優る」と結論付けて、あらゆる場所で主張してきました。

人間の脳や身体のことがあまり解明されていなかった時代は、人の才能は
生まれつきのもので、いくら努力をしても追いつけない領域があると考えられていた。
しかし現代では、生まれつきの才能は多少あるとしても、後天的な努力によって
人間は殆どのスキルを習得できるというのが、一般的な考え方になっています。
これには脳科学や心理学の発展も大きく貢献していて、この「GRIT(やり抜く力)」は、
第三の成功要因として才能、努力よりも成功に大きく関係しているという。

GRITは一つの重要な目標に対し、長年にわたり努力し続ける力で、
「継続は力なり」が科学的に証明されたといっても過言ではない。
大きな成功を収めた人たちに共通する、二つのことは、
「第一に並外れて粘り強く、努力家であったということ。
第二に決意だけでなく、方向性も定まっていて、自分がなにを求めているのか
をよく理解していた」ということである。
「情熱」と「粘り強さ」をあわせ持ち、「グリット」(やり抜く力)が強かったのである。

「2倍の才能」があっても「1/2の努力」では負ける。
「才能とスキルは別物だとはっきり認識する必要がある。たしかに、才能はうまれつきのもの。
だがスキルは、ひたすら何百時間、何千時間もかけて身につけるしかない」と。
「努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。
もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち。
努力によって初めて才能はスキルになり、スキルが生かされ、
さまざまなものを生み出すことができる」…と。
「やり抜く力」を強くする4ステップ。本書によれば、「やり抜く力」の鉄人に共通するのは、

1. 興味
自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる。
自分の仕事のなかで、目標に向って努力することに喜びや意義を感じること。
尽きぬ興味と好奇心をもって「この仕事が大好きだ」と言えること。

2. 練習
何かに興味を持ったら、ひたすらそれに打ち込んで、
自分のスキルを上回る目標を設定しては、それをクリアする「練習」に励むこと。
「やり抜く力」が強いということは、慢心しないことである。
分野を問わず、どれ程道を究めていても、「やり抜く力」の鉄人たちは
まるで決まり文句のように「何が何でももっとうまくなりたい」と言う。

3. 目的
自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。
目的意識を感じないものに、興味を一生持ち続けるのは難しい。
だからこそ、自分の仕事が個人的に面白いだけでなく、
他の人々のためにも役立つと思えることが必要。

4. 希望
希望は困難に立ち向かうための「粘り強さ」だ。
興味、練習、目的のあとに、希望を取り上げているが、
希望は「やり抜く力」の最終段階ではなく、あらゆる段階に欠かせない。
最初の一歩を踏み出すときからやり遂げるまで、ときには困難にぶつかり、
不安になっても、ひたすら自分の道を歩み続ける姿勢は、はかり知れないほど重要だ。
私たちはときに大小さまざまな挫折を経験して、打ちのめされる。
打ちのめされたままでは、「やり抜く力」も失われてしまうが、
立ち上がれば「やり抜く力」を発揮することができる。

「知能レベルは最高ではなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、
知能レベルが最高に高くても、あまり粘り強く努力しない人より、
はるかに偉大な功績を収める」。

私が過去、卓球を通して体験してきたことが、
今でも人生のあり方や事業経営の根幹を成しているということを
アンジェラ氏の手によって科学的に解明され、理論付けられたことは最高の喜びである。