理想的なチームの中から自ら燃える選手の出現を期待する

2016/6/01

『理想的なチームの中から
自ら燃える選手の出現を期待する』

春季リーグ戦、優勝おめでとう。
今回は、昨年秋の苦い思い出を抱えながらも、
客観的に見れば、優勝して当たり前といわれる中、プレッシャーを受けながら、
かなり充実した訓練を積んできた結果、大事な場面で逆転したり、
接戦の最後の場面で、思い切ったプレーができ、充実した内容で成長が感じられた。

町主将、鈴木マネージャーを中心に、
良くまとまって、個々の選手がすばらしいパフォーマンスを発揮して、
レベルの高いチーム力となった結果の勝利だったと思う。

優勝できたことは、実力だけではなく、運も味方してくれたのです。
敗者を讃える優しい気持ちを大切にしよう。
そして、勝ったときにこそ、なぜ勝てたのか、なぜ相手は負けたのかを反省して、
次に備えることを忘れないようにしよう。

昨年の世界選手権の決勝で、優勝した馬龍が台上に上がり、雄叫びをあげた後、
負けた方博に、台上から握手をした姿を見て、
一卓球人として、また、スポーツを愛する人間として、残念でならなかった。

さて、チームについて考えてみよう。
「同じ性格の人たちが一致団結していても、せいぜいその力は「和」の形でしか増さない、
だが、異なる性格の人たちが団結した場合には、それは「積」の形で、
その力が大きくなるはずだ」・・・と南極越冬隊長の西堀栄三郎氏は言っている。

チーム(組織)には、いろいろな形態があると思うが、3つに絞って考えてみる。
まず、「オーケストラ型」組織、これは指揮者の号令一下、
楽団員が、一糸乱れぬアンサンブルを繰り広げる。 形態としては、ピラミッド型で、
ワンマンリーダーのもと、統率されて、その指示により、その方向に向って動いていく。

2つ目は「ジャズバンド型」組織
ジャズバンドは、それぞれのメンバーが、独立のプレイヤーでもありながら、
バンド演奏をするときは、見事なチームワークを発揮する。
ある時は、ピアノが独奏し、他のメンバーがそれに合わせて伴奏し、
次は、ギター、ドラム、というように、時には即興演奏を交えながら、感動を与える。
いわば、必要なときに、必要な役割を演じる組織の典型だが、
メンバーの実力によって、出来、不出来がはっきりしてくるし、
また、それぞれの個性が強すぎて、メンバーの入れ替わりが激しい傾向がある。

3つ目は「融合型」組織で、
チームのメンバーの誰もが、必要不可欠な存在で、
チームにとって、何かしらの存在意義を持っている。
それぞれの存在が、チームの目的と、目標に従って、編成されていて、
一人ひとりは、お互いに、違いを認め合っているけれども、
同じ目標や、ビジョンを志して、それぞれが、がっちり結びつき、
自由に振舞う余地を残しながらも、しっかりした連帯感を持っている組織。

明治大学卓球部は、この3つ目の「融合型」組織を目指していて、
今は、理想的なチームになりつつあると、私は嬉しく思っている。

ただ、欲を言えば、その中で、「出る杭」になって、無茶苦茶努力する選手が出てきて、
その選手に対し、「負けてなるものか」と、追いかけ、追い越す努力をする選手が
次から次へ出てくる。
そういう相乗効果が出現するチームになってくれることを願っている。

自己実現に大切な要素は、何と言っても“やる気”です。
必死になれば、他人が想像できないようなことでも、やりのけてしまう能力は、
誰にでも備わっている。
スポーツでも、仕事でも、今やっていることが自分の道楽だと呼べるほどのものになったら、
やる気は物凄いものになる。

人間には次の5種類のタイプがいると舩井幸雄さんは言っています。
自ら燃える人間 = 自燃性他人に火をつけられれば燃える人間 = 他燃性状況によって燃える人間 = 選燃性全く燃えない人間 = 不燃性人のやる気を消してしまう人間 = 消燃性
基本的に多いのは②、③のタイプだと思う。
私自身も大学時代、一年上の津内口さんという先輩に火をつけられて、
②から①のタイプに変わっていきました。

人は「なるほど、そうか」と、膝を叩くような感覚を得ると、がぜん力が涌いてきて、
潜在能力までが活性化され、物事がどんどん実現の方向に動いていくものです。