稲盛和夫氏に学ぶ

2015/3/01

『稲盛和夫氏に学ぶ』

私は、卓球の選手として、また、日本代表選手団の監督として、
10数年に亘って体験し得たものが、その後の人生を生きる道標みちしるべとなって、
今日の兒玉圭司があります。

「努力は才能に優る」 「思いは叶う」 「熱意は自分を動かし、人を動かす」
「努力の量は質に転換する」 「絶対に諦めないという執念」 「情熱があれば事は成る」など
そして精神力(平常心・対応力・判断力・決断力・実行力)の強化、
分析力、研究心の重要性、
機会があれば、積極的に一流の人の話を聞き、一流のもの(芸術・芸能・絵画)に接して、
人間力を上げる努力をするなど、本当に多くのことを学ばせていただきました。

例えば「努力は才能に優る」とは、どうして、そういう結論を出す程学んだのか、
どうして、「思いは叶う」と信じているのか、「平常心」とは、どういう心の持ち方か、など、
例を出して解説すればそれぞれが、1ページ分の量になってしまいます。
今後機会があれば詳細に説明したいと思います。

これらのことを踏まえた上で出来るだけ大きな夢を持って、
その夢の実現のため計画性のある目標を立て、実践していくということが
私の企業経営の根幹を成しています。

さて、先月号で「山中伸弥先生に学ぶ」を書かせていただきましたが、その山中先生と
稲盛和夫氏(京セラ・KDDIの創業者・JALの再建をし、平成の“経営の神様”といわれている)との
対談本「賢く生きるより、辛抱強いバカになれ」を非常に興味深く、楽しく読ませていただいた。

その中で稲盛さんは、
「人生や仕事の結果」 = 「考え方×熱意×能力」という明快な方程式を持っている。
この3つの要素の中で、一番大事なのは、その人が持っている人生や仕事に対する
「考え方」であり、次に「熱意」、「能力」は3番目になる。

ここで言う「能力」とは、知能、学力や運動神経などで、多分に先天的なものがあるから、
個人の意志が及ぶものではない。能力の点数は「0点」から「100点」まである。

「熱意」は、「努力」と言い換えることができるが、これも全くやる気のない「0点」から、
仕事に対して燃えるような情熱を抱き懸命に努力する「100点」まである。

一番大事な「考え方」ですが、これはマイナス100点 から プラス100点まである。
たとえば、世を拗ね、人を恨み、斜に構えたものの見方をする人の場合、
「考え方」はマイナスになる。
一方、壁にぶつかっても素直に人の意見を吸収し、苦労も厭わず、
仲間や他人に善かれと願い、明るく真面目に努力し続ける人の「考え方」はプラスになる。

仕事の結果は、この3つの掛け算となるので学力、能力が高くても、
自らの能力を過信し、仕事をなめて努力を怠っている人間は、出てくる仕事の結果も低い。

一方能力は低くても、能力で劣るぶん仕事に情熱を持ち、
人の何倍も努力し、さらに考え方が前向きで思いやりがあれば、桁違いの結果が出てくる。

たとえば、学歴が高く能力が90点の人がいる。
しかし、彼は能力を過信し、仕事をなめ、努力を怠けているので、
熱意が40点、考え方も50点しかない。すると、仕事の結果は掛け算になるので18万点となる。

一方、能力は50点しかない人が、能力で劣るぶん仕事に情熱を持ち、
人の何倍も努力を続けたとしたら、熱意が90点となり、
さらに前向きで思いやりもあると考え方が80点であれば、結果は倍の36万点にもなります。

平凡な能力しか持たない人でも、すばらしい考え方を持ち、
懸命に努力すれば、予想以上の成果を生み出せるのです。

うちの幹部を見渡してみても、昔は一流大学卒はあまりいませんでした。
「辛抱強いバカばっかりが残ったな」とみんなで冗談を言っています。
実際、会社が小さいときは残業と苦労の連続でしたから、
能力だけがある人はさっさと転職していきました。
残った連中は部下を引っ張りながら辛酸をなめ、人間が出来てきたように思います。

平凡な人間である私が、人並み以上のことを成し遂げる方法はないだろうか、
と必死に考え抜いて、この方程式にたどり着いて、私自身を含め、この方程式に基づいて
ずっと仕事をしてきた結果、京セラを発展させたとも思っている。

冒頭で書きましたように、私が卓球で体験したことと重なる部分が多かったので、
興味深く読ませていただきました。
お二人の成功者の対談、これからの自分の人生を生きる上で非常に参考になりました。

是非、君達にもこの本を推薦したいと思います。