集中力を高めるためには その2
前号に引き続き、集中力について検証しよう。
では、集中力は、一体どうしたら身につくのだろうか?
まず、自分なりに集中する時間を決めてみることです。
気分を静めて、「集中するぞ!!」と強く意識する。
その時間は、例えば仕事なら、わき目も振らず、
目の前の業務に集中する。
例えば、卓球の場合なら、その訓練に没頭する。
周りがうるさくても、側に誰かが来ようが、
わき目も振らず、気が付かない位集中する。
そのために、タイマーを活用することも、
いい方法だと思う。
大切なことは、集中する時間を決めて、
時間が来れば分かるようにしておいて、
時間と集中力の使い方にメリハリをつける。
集中力を発揮するために大切なのは、リラックスです。
リラックスとは、精神(心)や体の緊張をほぐすことです。
リラックスする時に、緊張感が残っていると、
次に集中する時の集中力のレベルが低くなる。
集中した時と、リラックスした時の差は、
大きければ大きいほど、集中力は高まります。
集中した後に、リラックスタイムを設けたり、
集中モードに入る前にリラックスしたり、
自分の気持ちをコントロールする技術を、
いくつか持っておくことが重要です。
リラックスするには、
単に背伸びをして、「あー」と声を出す・・・とか、
大好きな家族やペットの写真を見て、ニッコリする・・・とか、
首や肩をぐるぐる回して、
体の緊張をほぐす・・・とか、いろいろありますが、
私はイメージを添えて、深呼吸(丹田呼吸)することを心掛けています。
特に試合中や試験中など、特に緊張した場面などで、
ほんの短い時間でリラックスするには、
顔の緊張をほぐす(百面相したり、耳の付け根を揉みほぐす)のが効果的で、
体中がリラックスできます。
普段は緊張していて、
本番の時にリラックスしている状態を作り出せれば最高です。
集中するためには、意志の強さも必要です。
あまりにも、優柔不断でいると、なかなか集中できません。
「私は集中できる。集中できる」と思うことです。
精神的にも肉体的にも、
エネルギーをそこに集結させることが本来の集中です。
なかなか集中できない人は、誰かと話をして、
何でもない会話の時でも
意識して、注意して行なうようにしてみたらいいと思います。
相手の話に集中して、その話の内容を頭の中でイメージするようにしてみると、
集中力が増してきます。
世阿弥(室町時代に「能」を大成させた人)は、
多くの伝書を残しましたが、
その中の「花鏡」の中で、
世阿弥は「初心忘るべからず」とか「離見の見」という、
光を放つ言葉を残しています。
「離見」とは、自分の演じている舞を、
観客の目で自分を見ることの大切さをいっています。
これは、「見所同見」ともいわれますが、
見所は観客席のことなので、
「客席から見ている観客の目で自分を見なさい」ということです。
これを我々が日常生活に応用するとすれば、
常に冷静な心で、他人が自分をどのように見ているのか、
他人(相手)の視点から、自分の言動や行動を見て、必要ならばすぐ修正し、
対応していかなければいけない・・・ということです。
スポーツ選手でも、一流といわれるアスリートのコメントにも、
この「離見の見」と思える言葉が多く出てきます。
大リーグで、10年連続200本安打を達成したイチロー選手も、
あるテレビのインタビューで、
「イチローという選手に対する見方は、僕が一番厳しかった」
と応えていました。
客観的に自分を見つめ、冷静に自分を評価し、
足りないところを補う努力をし続けること、
集中力を高めて、大局から自分自身を見ていく努力をすることが、
自分の未来を築き上げる最善の道であると思います。