インカレ優勝おめでとう!新しい発想の重要性・「はやぶさ」に学ぶ
『インカレ優勝おめでとう!
新しい発想の重要性・「はやぶさ」に学ぶ』
インカレ優勝おめでとう。
今回ほど厳しい闘いは久し振りに味わった。
準決勝中大戦、決勝青森大戦、いずれも逆転の勝利で、
私も試合途中で「これは負けたかな」という場面が何回かあった。
しかし選手自身がハイリスク・ハイリターンの戦い方を全うすること
ができ、よい仕事をしてくれた。
これは何といっても起用された選手ばかりでなく、控えの選手と、
合宿所に残った選手たちがこのインカレに向けて一丸となって努力し、
それぞれの役割を果たした結果であり、その思いが通じ、
「勝利の女神」が微笑んでくれたものと確信する。
今年5月に発行した当社(SVENSON)の季刊誌「Natural Life」で、
私のメッセージとして、2010年8月の新聞の投書欄「はやぶさ見習おう」
という一文に目が留まり、この14歳の女子中学生の感性に嬉しくなり
切り抜いておいたものを題材として、「強い思い」「やる気」
「変わらなさ」が真の強さの源泉であるということを書かせて頂きました。
この私のメッセージを読まれた、日本実業出版社編集長の山浦秀紀氏から
以下のような文面と共に川口淳一郎著「はやぶさ 世界初を実現した日本の力」
をご送付頂きました。
『ナチュラルライフ』で「はやぶさ」の記事を拝読し、弊社で刊行しました、
川口淳一郎著『はやぶさ 世界初を実現した日本の力』を献本させて
いただこうと思い立ちました。
「諦めない力」はもとより、「日本人は“できない理由”を探すけれど、
“こうすればできる”を考えなさい」など、川口先生の言葉には
非常に深い含蓄がございます。
社長様の文章を拝見し、きっと本書も気に入っていただけるのではないかと
感じました。ご高覧いただければ幸いです。
早速拝読させて頂きました。世界初、人類初の偉業を成し遂げた
プロジェクトメンバーの方々に感謝申し上げると共に、改めて感動し、
多くの教訓を頂戴しました。
多くの感動を呼んだ「はやぶさ」プロジェクトは、これまでに松竹映画、
東映映画、20世紀FOX映画、そしてNHKの特別番組や他メディア各社で
大きく取上げられ紹介されてきました。
川口先生は、この本の冒頭で、「はやぶさ」で、私が本当にお伝えしたいこと━。
として次のように記しています。
「はやぶさ」プロジェクトが示したもので、もっとも大きいのは、
「新しい発想の重要性」、日本はそういう創造性を発揮できる国
だということです。さらに、次の世代に日本を変えていく必要がある今、
日本は、人類がいままでやったことがない、考えたこともないものを
実現できる国だということを、若い方々に、特に知ってほしい・・・と。
「はやぶさ」プロジェクトではエンジニアや研究者など、延べで言えば500人もの
スタッフが参加しており、川口先生は「プロジェクトマネージャー」
を務められました。
プロジェクトマネージャーは、開発や運用のトラブルが起きるたびに
それを何とか解決し、先へ先へと転がしていくのが仕事と言えます。
探査機の運用で「待った」は死活問題。
トラブルが起きたら即、手を打たねば、探査機は永遠に我々の手の届かない
宇宙空間へと飛んで行ってしまいます。
「トラブルをいかに早く解決できるか」
それはつまり、「プロジェクトのメンバーが、いかによいアイデアを
考え出せるか」と同義である。そして、プロジェクトマネージャーの
立場からすれば「いかによいアイデアをメンバーから引き出せるか」が
鍵だということです。
東京台東区にある「飛不動尊正宝院」というお寺は、昔から旅行者や
航空業界で働く人が旅行や飛行の安全を願ってお参りするお寺として
知られています。
「はやぶさ」のイオンエンジンの開発チームも、ここにお参りしていました。
「神頼み」なんて合理的な科学技術者の行為なのかと思われる方が
いらっしゃるかもしれません。けれど、実は合理的な行為なのです。
我々科学者は自分がやっていることの限界を知っています。
それを超えたところにあるものには手が出ません。その境界は明白です。
と同時に、そうした領域にあるものに対し、期待をかける場合もあります。
そのときに初めて、お参り(神頼み)という行為が生まれるわけです。
つまり、「やれることはやり尽くしたのか」という自己点検の裏返しが、
お参りであると理解してください。お参りとは、科学技術者が合理的に
行う行為なのです。
では、ご利益はあったのかと聞かれます。 ありました。
神仏の効果とは少し違うかもしれませんが、
それほどまでに願いをかけることで集中できたこと、それこそが
御利益だと思うのです。
是非、多くの人がこの「本」を読まれて、エネルギーを吸収し、
活性化されるよう心から願っています。